大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(オ)156 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

原判決は、建物の賃借人が、その所有者たる賃貸人の承諾を得た上で、自己の材

料及び費用を以て賃借家屋に増築及び改築をした場合に、その増、改築された部分

と従来のままである部分とがそれぞれ独立の建物と同一な経済上の目的に使用でき

る場合は格別、相併合しないと建物としての効用を完うすることのできない場合に

は、その増、改築された部分は賃借人が権原によつて附属させたものではなく、一

個不可分の建物の構成分子となつたものであるから、民法の規定に従つて全部賃貸

人の所有に帰し、その増、改築の部分だけについて賃借人の区分所有権を認めるこ

とはできないものであるとの見解の下に、その挙示する証拠に基いて、本件の被上

告人所有の建物について所論訴外人の増、改築を施した部分はそれ自体では独立の

建物として経済上の目的に使用し得ないものであつて従来のままの部分と相併合し

て初めて建物として効用を完うする関係にあるものと認定した上右増、改築部分は

被上告人所有建物の構成部分になつたものであるから、これに対し所論訴外人の区

分所有権を認めることはできないと断じたものであることは、原判文上明らかであ

り右原判決挙示の証拠によれば右認定もできないわけではないから当審も原審の右

判断を正当と考える。論旨は原審の裁量に属する右事実の認定を非難する傍ら建物

の区分所有権に関する独自の見解を展開して、原判決を攻撃するもので採用できな

い。論旨引用の判例は、本件に適切ではない。

以上のとおりであるから論旨はすべて「最高裁判所における民事上告事件の審判

の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号ないし三号のいず

れにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」もの

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と認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主交のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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